キミちゃんの物語(5)
カズは本土から帰ってきたあと、キミちゃんをずっと探してることは噂でも聞いた。カズはなんと、キミちゃんが地元から遠く離れたところで住んでた場所までは探せたらしい。それを聞いたときには驚いた。本当にどうやって探してるのかと。犬の鼻みたいに昔からキミちゃんを探すのが得意なカズ。でも、そこまでしかキミちゃんを探せなかったらしい。再会したときの2人のことをキミちゃんに聞いてみた。「カズはキミを見るなり泣いてた。キミも泣いたけど、恥ずかしかった」と、話してくれた。キミちゃんはカズが結婚してることは知ってたけど、カズに対しての想いを抑えることができなくて会ってしまった。いけないと知ってたけど、キミちゃんの中ではまだ終わってなかった。そして、カズの中でも終わってなかった。カズが言った。「俺が本土から帰ってき
たあと、キミに会いたくて直ぐ会いに行ったけど、キミはいなかった。でも、俺は諦めなかった。だから、ずっとキミを探し続けた。でも、探せなかった。そのときに思った。そっとしてあげた方がいいのかな?って。でも、忘れることができない。キミは全然変わってない。あのときのまんまだ。でも、年はとったな(笑)。俺はもっと年をとったけどな(笑)」と。
カズはそう言いながらもずっと泣いてた。泣きながら私を抱きしめてた。キミ、そのときに思った。キミはそこまでカズに思われてたんだなって。気づくのに遅かったけど、キミもカズのことがずっと好きだったから、再婚もしなかった。だって、どんな男とつき合っても、カズとすぐ比べてしまう癖が抜けないから。キミもカズのこと忘れてなかったし、いつもカズに会いたいという気持ちがあったから、会えて本当に嬉しかった。離れたくなかった。それがキミの正直な気持ち。だから、流れに流されてしまった。でも、現実は
許されることではないってことは分かってた。最初からカズが結婚してることは知ってたから。カズに言った。「何でキミのことがまだ好きなら、何で結婚したの?バカじゃないの」って。そしたらカズが言った。「俺は本当にバカだ。俺がバカだった」って言ってた。でも、結婚は結婚でしょう。私は独身だったし、彼氏もいなかったから問題はないけど、またカズのことで問題があった。ってことは、どんなに2人が一緒になりたくてもカズとは一緒になれないってことが分かった。またあの頃と同じ状況。でも、キミは分かってた。最後はキミが離れることになるってことを。だから、それまでカズと過ごしたかったし、カズとの恋を終わらせたかった。
カズは仕事が終わると、殆ど毎日キミちゃんのアパートに寄った。2人で旅行にも行った。喧嘩もした。料理が下手なキミちゃんに笑ったカズもいた。休みの日もこっそりキミちゃんに会いにきてくれたカズ。そんな日が何ヵ月か続いた。そして、2人に本当の別れの日がきた。キミちゃんは自分の気持ちを殺してカズに別れを持ちかける。そして、冷たくあしらって、アパートまで引っ越したキミちゃん。そして、寂しさを紛らわすために彼氏をみつけた。でも、直ぐに別れた。恋多きキミちゃんだったけど、愛する人は1人だけだった。私が「もし、カズが結婚してなかったら?」って、キミちゃんに聞いてみた。そしたら「多分、一緒に暮らしてた。でも、結婚はしてないと思う。あのときの傷がまだ残ってるし、決心するまで時間がかかると思うから。でも、キミは結婚しなくてもカズと一緒にいられるだけでいい」って言ってた。2人が一緒になった姿を想像するだけで嬉しくなってしまう。キミちゃんと別れてたあと、カズは離婚をした。だけど、2人が一緒になることはなかった。2人の恋は本当に終わってしまったのかな?
ここまで人を好きになり、再開してもまだ2人の気持ちが変わってないまま。私はこの物語をいつか書いてみたいと思ってました。詳しく書いてしまうと変に長くなるので、飛び飛びに書きました。
最後にキミちゃんに聞いてみました。「キミちゃん、今の旦那さんはカズを超えたの?」と。そしたら、キミちゃん「同じ」と言って、笑って答えてました。