キミちゃんの物語(2)
キミちゃんが15歳のとき
毎日折り紙に『一緒になれますように』って、願いごとを書いて何故かツルを折ってたキミちゃん。「何でツルなの?」って聞いたら、「ツルなら願いを叶えてくれそうだからツルにした」と言うキミちゃん。1度だけしか話した事がない年上のカズに一目惚れしちゃったキミちゃん。カズに彼女がいるのか、いないのかも分からないのに、純粋に自分の気持ちを折り紙に託してた。私が「キミちゃん千羽鶴折るの?」って聞いたら、「違うよ。叶うまで折る」って言ってた。不良のくせに心は純粋だった。
願い
キミちゃんから電話がきた。「昨日さー、お家に帰る途中にカズがオートバイのエンジンをブンブンふかしてキミに合図をしてくれたよ。そして、今日もまたカズと偶然に会って、今度はオートバイに乗せてもらった。それで、デートの約束までしちゃった」と言う電話だった。私が「キミちゃん、一生懸命ツル折ってたから願い事が叶ったんだよ。良かったじゃん」って言うと、「うん。自分でも驚いてる。でも正直、諦めかけてた。やっぱり手の届かない人だと思ったり、彼女がいるんだって、思ったりしたよ」って、話してくれた。私は、ケバいキミちゃんでも弱音を吐くんだと思った。私が「キミちゃん、デート楽しんできらいいさー。やっとカズと2人っきりでたくさん話しができるんだからさー。でも、カズに彼女がいたらすぐに諦めるんだよ」って、とりあえず深く傷つく前に注意をしておいた。そしたら「分かってるよ」って、言ってくれた。
デートからその後
初デートでカズからお付き合いの申し込みを受けて、そこから2人のお付き合いがスタート。幸せな2人。私たちから見てもベストカップルだった。だけど、キミちゃんは不良だったから、勘違いされてることも数多くあった。でも、それは誰かが広めた嘘でもあった。カズはキミちゃんの純粋な心を知ってたから、そういう噂話には一切耳を傾けなかった。でも、キミちゃんの心はボロボロだった。カズに支えられながらキミちゃんは頑張った。でも、次第に2人の歯車が狂い始めていく。今まで友達よりもカズ優先だったキミちゃんが、友達の家で時間を過ごすようになっていき、それを追いかけてくるカズ。そして、キミちゃんに厳しくなっていくカズ。喧嘩ばかりして、いつも「別れる」「別れない」の繰り返し。そして、そんな2人が本当に別れてしまった。
終わることのない彼への想い
キミちゃんは今でも心の奥にはカズへの気持ちがあるって言ってた。カズとキミちゃんは互いに初恋の仲だったから、忘れられないと思う。たまにキミちゃんと話してると、カズの名前も出てくる。そして、キミちゃんはいつも言う。「忘れる事ができないんだよね。カズは特別だったしさー。幸せになってたらいいけど」って。
実はこの2人、別れて9年目に再会したんですよ。そのときのカズは結婚してて、キミちゃんは独身だった。カズがキミちゃんの事をずっと探してて、それを知ったキミちゃんが「あのときのままで、まだカズとの恋は終わってないから終わらせたい」と言って再会。でも、カズの気持ちもあのときのままだったから、2人は離れる事ができなくて、そのまま流されてしまった。でも、キミちゃんは分かってた。このままではいけないって。そして、キミちゃんは覚悟を決めてカズに言った。「もう終わりだよ」と。そして、冷たくあしらってアパートまで引っ越しった。
そのときの気持ちをキミちゃんが私に話してくれた。「そこまで冷たくしないと、カズは私と別れてくれないから。最初からカズとは結ばれる運命ではなかったんだよ。今回、再会してそれが分かった。だから、これでキミは前進できるよ」と、涙を流した。こんなにも愛し合ってる2人なのに、結ばれない現実問題。実はあのとき、嘘を広めたのはカズの身内からの仕業だった。だから、キミちゃんはカズとの愛を諦めた。そして、再会したときカズは結婚をしてた。またカズの身内との問題になる事をキミちゃんは知ってたから身を引いた。
ツル
私はあのツルが忘れられない。一生懸命願いごとを書いて折ってたツル。気になってツルの事をキミちゃんに聞いてみた。そしたら「あれ、別れたときに捨てたよ」って言った。頑張って折ったツルにもお別れしてたんだね。